あたしのオキテ-切なくて、でも忘れられない
会社に行く途中で、湊くんと会った。たまに一緒になることがある。といっても会社のエレベーターの前だ。



ほかの沢山の社員さんたちと一緒に、エレベーターを待つ。あたしは12階、湊くんは15階だ。



おはよう




そう言った湊くんの顔は、心なしかいつもより可愛かった。



そうだ、耳が真っ赤だからだ。



どうしたのかな?と思ったとき、金曜の夜の小さなキスを思い出した。あたしの涙を掬ってくれたんだった、湊くんの唇で。



ちょっと、沈黙があってから、あたしは湊くんに笑いかけた。



金曜は飲みすぎちゃったな。でも楽しかったね。



うん、また飲もうか?



湊くんが言った。



< 23 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop