目覚める度に、傷ついて
思い出すだけで吐き気が込み上げて来て、奏に蹴られた事のある腹部が痛む気がした。


どうにか学校へ到着すると、2年3組の前であたしは立ち止まった。


自分の教室に入る直前どうしても足がすくんでしまう。


1年の中ごろから難波穂月(ナンバ ホヅキ)という少女に目を付けられてからイジメは始まった。


始まりはとても些細な事だった。


1年生の時穂月同じクラスだったあたしは、席替えで穂月の前の席になった。


そこから少し会話するようになっていった頃だった。


前の席から配られてきたプリントをあたしは床に落としてしまったのだ。


悪気なんてなかった。


わざとだなんてとんでもない。


あたしはすぐに拾おうと手を伸ばしたんだから。


だけど、穂月は『あたしのプリント、わざと落としたんでしょ』そう言って来たのだ。


あたしはもちろん否定した。


そんな事するはずがない。


せっかく席が近くなって会話をするようになった穂月を傷つけるわけがない。
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