目覚める度に、傷ついて
天真は驚いて司を見る。


司は前から暴力的なヤツとして名前が通っていたから、見逃してもらえるとは思っていなかったのだ。


だけど、ただでとはいかなかった。


『俺の仲間になれ』


それが司の条件だった。


仲間と言っても、ただパシリだ。


今日みたいにコンビニに行かされたり、突然呼び出されて雑用を頼まれたりするのが主だった。


「……ごめん」


すべてを聞き終わったあと、あたしはうなだれてそう言った。


「今更何言ってんだよ」


天真は呆れた顔になってそう言った。


「でも、天真がイジメに加担するようになったのは、全部俺のせいだ」


「まぁ、そうだけどさ。おかげでお前と仲良くなれたんだし、な?」


肩を落とすあたしを見て、天真が慌てている。


「とにかく、俺と天真。それと奏にはもう誰かをイジメる意思はないんだ」


「奏も?」


天真の言葉にあたしは力強く頷いた。


昨日の一件で奏の気持ちが変化していると、あたしは信じている。
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