目覚める度に、傷ついて
穂月だって、本当はちゃんと理解していたハズだった。


あの日の穂月は付き合っていた彼氏と喧嘩をしていたのだ。


虫の居所が悪かった。


だからあたしは八つ当たりをされたのだ。


ただ、悪かったのが穂月がクラスを束ねているリーダー格の生徒だったと言う事だ。


穂月が黒だと言えば、白いものまで黒くなる。


そんな影響力のある穂月を敵に回してしまって以来、あたしはイジメの標的にされ続けていた。


「こんな所でなにしてんの?」


そんな声が後ろから聞こえて来たあたしはビクッと身を震わせた。


恐る恐る振り返ると、そこにはクラスメートの高塚ユメノが立っていた。


イジメメンバーの1人だ。


スラリと手足が長く色が白い。


中学2年生とは思えないくらい大人びているユメノ。


とても美人で学校内では一番人気があるが、その本性は恐ろしい。


ユメノはとにかく暴力的で、あたしを呼び出すと必ず殴る蹴るの暴力を加えて来た。


奏のように金銭を要求してくることはないが、あたしの体にできているアザのほとんどはユメノによって作られたものだった。


「奏?」


ユメノが小首を傾げてあたしを呼ぶ。


その名前にハッと息を飲んだ。


そうだ、あたしは今奏なんだ。


イジメられっ子じゃない。


ユメノの仲間なんだ。
< 11 / 202 >

この作品をシェア

pagetop