目覚める度に、傷ついて
☆☆☆

結局、あたしも夏斗と同じように逃げてしまった。


浩志の家に戻って来たあたしはリビングのソファに力なく横になっていた。


制服を着替える気力もない。


ユメノのあの楽しそうな笑顔を思い出すと鳥肌が立った。


どうしてあんなに楽しそうに人を苦しめる事ができるんだろう。


奏と浩志と天真がイジメに加担している理由はなんとなく理解できた。


だけど、ユメノだけはどうしても理解できない状況だ。


「浩志さん、大丈夫ですか?」


あたしがリビングのソファから動かないのを見たお手伝いさんが、心配して声をかけて来た。


「大丈夫だよ……」


あたしはそう返事をして、のそのそと起き上がった。


精神的なショックが大きかったからか、体がひどく重たく感じられた。


もし、もう1度この体で自殺をしたらあたしはどうなるんだろう?


また、誰かとして目が覚めるんだろうか?


広い部屋で着替えをしながら、ふとそんな事を考えた。
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