目覚める度に、傷ついて
もし、万が一での可能性でもいい。


ユメノとして目覚める事が出来たとしたら、何かわかるかもしれない。


あたしはカーテンレールを見上げた。


木製で頑丈そうなカーテンレールには落ち着いた茶色の、趣味のいいカーテンがかかっている。


着替えを終えて、そっと近づく。


背伸びをしてようやく指先が届く程度の位置にある。


だけど、ここからロープを垂らせば足がついてしまうかもしれない。


あたしは部屋の中を見回した。


もっと簡単な方法はないだろうかと、引き出しを開けた。


穂月の写真を見ないようにしながら中を探す。


するとカッターナイフが出て来た。


筆箱に入れたらパンパンになってしまうような、大きめのものだ。


あたしは刃を出してみた。


カチカチと時計の秒針のような音がして、欠けていないまっさらな刃が姿を見せた。


試にノートに刃を当てて引いてみると、スッと切れ目ができた。


まだ新品で、一度も使っていないのかもしれない。


切れ味は抜群だ。


これなら手首に当てても痛みは少ないはずだ。


あたしが自殺をした時のカッターナイフは少し錆びていたから、刃に段差ができて痛かった。


おまけに切れ味も悪かったっけ。
< 113 / 202 >

この作品をシェア

pagetop