目覚める度に、傷ついて
人が経験できないような事を経験しているのに、更に人を傷つけるなんてあたしには理解できなかった。


こんなに綺麗な場所に立てていると言うのに、何が不満なのかわからない。


レッスン場に入ると、ユメノの体は自然と動きだすのだ。


そのくらいレッスンしてきたことが体に染みついている。


好きじゃないとここまでのことはできないハズだ。


レッスンの先生が入ってきて緊張感に包まれても、ユメノの体は自由だった。


音楽を聞いただけで滑らかに動き始める。


ダンスしている間、自然と笑顔になっていることにも気が付いた。


好きで好きで仕方がない。


そんな感情をユメノの体から感じることができた。


「今日のレッスンはこれでおしまい!」


先生がパンッと手を叩いて合図すると、一緒にレッスンを受けていた子たち全員が頭を下げた。


「ありがとうございました!」


その声が波のように押し寄せてくる。


あたしも深く頭を下げてお礼を言った。


「ユメノお姉ちゃん、今日もすごかったね!」


麻衣美ちゃんがタオルで汗を拭きながらそう声をかけて来た。


「そうかな?」


そう言いながらも、確かにユメノはすごいと感じていた。


鏡越しに見るその姿はもうプロのアイドルのようだった。


「ユメノお姉ちゃんがデビューするの、楽しみに待ってるからね!」


麻衣美ちゃんはそう言うと、ニッコリとほほ笑んだのだった。
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