目覚める度に、傷ついて
それに、着替え中に気が付いたことがあったのだ。


ユメノの体はあちこちにアザがある。


顔や手や足など、人目に触れる場所は綺麗なのに、見ない場所は傷だらけなのだ。


もしかしたら、神崎さんにやられていたのかもしれない。


「なに言い出すの?」


途端に険しい声が聞こえてきて、あたしはハッと顔を上げた。


母親があたしを睨み付けている。


「だって……」


「アイドルになるのはあんたの夢でしょ!?」


そうかもしれない。


だけど、この体を弄ばれてまで実現したいような夢じゃないはずだ。


だからこそユメノは率先して人をイジメるんだ。


自分1人じゃ抱えきれないストレスを、暴力で発散しているんだ。


負の連鎖は続いている。


「お母さんもお父さんも、どれだけあんたに期待してると思ってるの!」


そう言われてあたしはうつむいてしまった。


ユメノの父親はまだ見たことがないけれど、きっととてもカッコいい人なんだろう。
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