目覚める度に、傷ついて
あたしやユメノよりも少し年上に見える。


彼女たちがステージに上がった瞬間、会場内の拍手と歓声は大きくなった。


耳が痛いくらいだ。


ステージ中央に立ったロングヘアーの少女が会場を見回して「みなさんこんにちは!」と、声をかける。


さきほどの司会者の時にも返事はあったけれど、その何倍もの声が帰って来る。


絶対に彼女に自分の声を届かせようと、みんな必死になっているのがわかった。


「今日はこんなに沢山の人たちに集まってもらえて、とっても嬉しいです!」


そんな他愛もない挨拶でも会場は地響きがするほどの歓声に包まれているのだ。


あたしは唖然として彼女たちを見つめた。


たった数年早く生まれただけで、彼女たちはこんなにも沢山の人からの声援を手に入れているのだ。


あたしは何度も瞬きを繰り返す。


アイドルなんて興味がなかったけれど、目の前の彼女たちには惹かれるものがあった。


彼女たちが歌って踊りはじめると、会場が一体になって動き出す。


大きな歓声、歌の合の手、きらびやかなペンライト。


そのどれもに心が躍るような感覚だった。
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