目覚める度に、傷ついて
☆☆☆

いい加減自分の体に戻りたい。


目をあける直前、あたしはそんな事を考えた。


布団の中にある自分の右手にそっと触れてみる。


知らない感触がして、暗いため息を吐き出した。


あたしはまた別の人間として目が覚めたようだ。


恐る恐る目を開けると、白い天井が見えた。


スッと視線を横へと移動させる。


灰色の壁紙。


黒いテーブルにこげ茶色の机と本棚。


本棚の中には漫画と小説が半々くらいで置かれている。


あたしは上半身を起こして周囲を見回した。


見た感じ男の子の部屋みたいだ。


自分の両手を見おろすと、骨ばっていてゴツゴツしているのがわかった。


誰の部屋だろう?


不安が胸をよぎる。


イジメのメンバーで男と言えば、あとは司と天真くらいだ。


この部屋は2人のうちどちらかだろう。
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