目覚める度に、傷ついて
目を開けた時、周囲の景色を確認するより先にタバコ臭さが気になった。


司の部屋だとすぐにわかる。


灰色の天井に灰色の壁。


家具は黒や白や統一感のない色合いで、服や雑誌があちこちに散乱している。


上半身を起こしてみた時、布団がやけに湿気ている事に気が付いた。


もう随分干していないようだ。


ドアを開けて廊下へ出てみれば、そこにも物が散乱していた。


コンビニのゴミ袋が渦高く積まれている。


これじゃまるでゴミ屋敷だ。


そう思いながら階段を下りていくが、人の気配がしない。


リビングにもキッチンにも寝室にも誰もいないのだ。


あたりはゴミにまみれていて少し歩くのも大変だ。


「ここが司の家……?」


信じられなくて、あたしは洗面所へと向かった。


掃除されていない、水垢で白くなった鏡に自分の姿を映してみる。


想像通りそこに写ったのは司だった。


司の両親はどこへ行ったんだろう?


このありさまを見ると随分長い間帰ってきていないように見える。
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