目覚める度に、傷ついて
あたしは全身の力が抜けていくような感覚がして、その場に座り込んでしまった。


もしかしたら司の事も救えるかもしれないと思っていたが、ドラッグにまで手を出しているのなら、あたし1人の力で解決できることじゃない。


ふと顔を上げると、赤髪の男がトップスを抜いで素肌を晒していた。


ゆっくりと後ろを向くとその背中には大きなイレズミが入れられている。


昇り竜のイレズミだ。


「お前の背中にもこれと同じイレズミがある。俺たちは兄弟だ。そう誓っただろ?」


その言葉にあたしは無意識のうちに背中に手を伸ばしていた。


この背中に竜が掘られているなんて、全然知らなかった。


「崎田さんも俺たちの事を拾ってくれたんだ。恩を仇で返すことなんて、できねぇだろ?」


崎田?


一体誰だろうか?


考えてみても悪い想像しか浮かんでこない。


中学生が覚せい剤を手に入れてイレズミを掘る。


その為にはその筋の人間と関わる必要があることくらい、あたしだって理解できた。


崎田というのは、きっとそういう関係の人に違いなかった。
< 166 / 202 >

この作品をシェア

pagetop