目覚める度に、傷ついて
司だって、本当は嫌だったはずだ。


これ以上悪の道に進むのは怖かったに違いない。


だからこんな生活になっても学校へ来て、授業を受けていたんじゃないだろうか。


少しでも普通の生徒たちと関わり合って、少しでも勉強をして、元の生活に戻れるように必死だったのかもしれない。


だけど、ダメだ。


司の家がたまり場になっている限り、司は元の生活に戻ることなんてできない。


事態は悪化する一方だ。


だから、警察に頼るしかなかった。


一旦警察にお世話になる事で、あいつらとの関係を断ち切ることができれば一番だ。


あたしはギュッと白いシーツを握りしめた。


司は目が覚めた時にホッとするだろうか。


ようやく捕まる事ができて、更生への道が見えたと思ってくれたら、それでいい。


あたしはそう思い、シーツを口に含んだ。


唾液と一緒に無理やり喉の奥に入れる。


一瞬にして呼吸が止まり、息苦しさに目を見開いた。


ベッドの上で大げさなくらい暴れて苦しんでいると、すぐに看守がやってきた。


それを確認したあたしは、スッと意識を手放したのだった。
< 169 / 202 >

この作品をシェア

pagetop