目覚める度に、傷ついて
☆☆☆

担任の女性の先生はホームルームの時にあたし、イツキは今日休むと言う事だけを伝えていた。


あたしはその説明にポカンとしてしまう。


たったそれだけ?


あたし、昨日手首を切ったんだよ?


このクラスのイジメが原因で、死のうとしたんだよ?


ホームルームが終ると同時に、あたしは廊下まで走って先生を呼びとめていた。


「武元さん、どうしたの?」


先生はいつもと変わらない笑顔を浮かべている。


「あの……神崎さんのことなんですけど……」


自分の事を苗字で呼ぶのはなんだかおかしな気分だった。


「神崎さん? あぁ、今日はお休みなのよ」


先生は笑顔を崩さない。


あたしはその笑顔に混乱する。


先生はあたしが昨日手首を切った事を知らないのかもしれない。


なにか理由があって、両親が黙っているのかもしれない。


そんな風に感じられた。


「神崎さんは、大丈夫ですか?」


「ただの風邪らしいから、大丈夫よ。しばらくは休むみたいだけど」


先生の笑顔は消えない。
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