目覚める度に、傷ついて
「本当は、夏斗のことだって……あたしはっ……」


「わかってる。ごめん」


言葉が続かなくなったあたしの頭を優しくなでる夏斗。


「憎まれて当然の事をした。許してもらおうだなんて、思ってない」


イジメられていたあたしにとって、夏斗はただの傍観者だった。


見て見ぬふりをしているだけの卑怯者で、大嫌いだった。


「でも、本当は違った……! 夏斗だけは、違った……!!」


「そんなことない。俺は好きな子を助けることもできない、弱い人間だ」


夏斗の目にも涙が浮かんで見えた。


あたしは懸命に左右に首を振る。


夏斗の言葉をどうにか否定したかったけれど、言葉が喉につかえて出てこない。


夏斗の手が伸びてきて、あたしの体を抱きしめた。


大きくて力強くて、安心できる腕の中。


あたしは泣きじゃくりながら夏斗の体にしがみ付いた。


今まで気が付かなくてごめんね。


夏斗はこんなにもあたしの事を思ってくれていたのに、気づかずに自殺なんてしてごめんね……。
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