目覚める度に、傷ついて
「そうだよイツキ。ユメノだよ」


ユメノは泣きそうな顔であたしの手をにぎりしめてきた。


重たかった体がスッと楽になっていく感じがする。


「イツキ!」


叫び声に似た声が聞こえてきて視界の中に夏斗を見た。


夏斗は目に大粒の涙をためていて、今にもこぼれ落ちてしまいそうだ。


あたしは夏斗の顔を見た瞬間照れくさくなって、ほほ笑んだ。


「イツキ、大丈夫か?」


そう言ったのは浩志だ。


その隣から奏が「気が付いた?」と、声をかけて来た。


みんな……みんながいる。


「あ……たし……?」


「なんだよ、覚えてないのか? お前、みんなの体に乗り移ったんだぞ」


夏斗がそう言い、ついに涙が頬を落ちて行った。


あぁ。


そうだった。


あたしはあの日自殺未遂をした。


左手首を深く深く切って、眠りについた。
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