目覚める度に、傷ついて
ミカちゃんが財布から千円札を2枚取り出してあたしの手に乗せた。


『いらない』


そう言って突き返したい気持ちになった。


こんなお金いらない。


人のお小遣いやバイト代に手を出すなんて最低の行為だ。


あたしは渡されたお札をギュッと強く握りしめた。



ごめん、ごめんねミカちゃん。


あたしは今奏だから、いつも奏が口にする言葉を言わなければいけない。


「たったこれだけかよ」


あたしはそう吐き捨てて、舌打ちをした。


声が震えないように気をつけるだけで精いっぱいだった。


「……ごめん……なさい」


ミカちゃんはあたしからすぐに手をひっこめてそう言った。


あたしは返事をせずに、制服のスカートにお札をねじ込んだのだった。
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