目覚める度に、傷ついて
☆☆☆

ようやく昼休みになり、あたしは女子トイレの個室に逃げ込んで大きく息を吐き出した。


奏として学校へ来てから周囲に会わせることに精いっぱいで、疲れ果ててしまっていた。


だけど今日はまだ2時間も残っている。


考えるだけで胃が痛くなりそうだ。


穂月たちに合わせてミカちゃんをイジメる事もつらかった。


あたしが風邪を引いたりして休んでいる間もミカちゃんがターゲットにされていたのだとわかり、胸が痛んだ。


トイレで1人になると少しだけ冷静になって来る。


先生は神崎イツキは休みだと言った。


つまり、あたしの体はまだ死んではいないのだ。


自分に戻ることができる。


そう思うと、嬉しさ半分、戻りたくないという気持ちも半分ほどあった。


イツキに戻ればまたイジメられる毎日が待っている。


転校したってきっと同じだ。


転校先の生徒と穂月が知り合いで、あたしがイジメられっ子だと言う事を伝えていれば、あたしは転校先でも同じような目に合う事になる。


穂月たちはどこに逃げてもあたしを追いかけるようにして、いろんな手段でイジメてくるだろう。


考えただけで恐ろしかった。


それならいっそ、このまま自分の体には戻らないでいいかもしれない。
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