目覚める度に、傷ついて
「浩志さん、どうしたんですか?」


体調が悪いとでも勘違いしたのか、慌てて駆け寄って来る女性。


浩志のお姉さんだろうか?


それにしては『浩志さん』と呼ぶのはおかしい。


「……なんでもない。大丈夫だから……」


あたしはそう言い、肩を貸してもらいながら立ち上がった。


「制服の準備ができております」


女性はそう言い、持ってきた制服をハンガーにかけた。


それを見てこの人がお手伝いさんなのだと気が付いた。


浩志の家は本当に裕福なようだ。


「あぁ……ありがとう」


なんと返事をしていいかもわからずあたしはそう言った。


するとお手伝いさんは笑顔を浮かべて会釈し、部屋を出て行ったのだった。
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