目覚める度に、傷ついて
いきなり自殺未遂をしたなんて伝えたら生徒たちに衝撃が走ると思ったからだろうか。


事故と言う事にしておけばしばらく学校に姿を見せなくても不自然じゃない。


でも……それがまかり通るような世の中じゃないことくらい、先生だってわかっているはずだった。


生徒の自殺といえばニュースで毎回取り上げられ、問題視されている。


「事故とかダッサ」


穂月がそう言い、笑い声を上げた。


それにつられてクラスメートたち数人からも笑い声が聞こえて来る。


「静かに! 事故はいつ自分の身に降りかかるかわからないものです。笑いごとじゃありませんよ」


先生のキツイ口調に、穂月は一旦は静かになった。


だけど反省している様子はなく、笑顔をはりつけたままだ。


あたしは奏に視線を向けた。


しばらくあたしが来ないと言う事を知り、表情が硬くなっている。


どこか焦っているようにも見えた。


やっぱり、明さんから催促でもきたのだろう。


あんな男とずっと一緒にいるからだ。


あたしはそう思い、奏から視線を外したのだった。
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