目覚める度に、傷ついて
「浩志」


あたしの横に立っていた天真があたしのわき腹をつつく。


混ざれと言っているのがわかった。


だけどあたしは手を出さない。


ブラウスの上からでもデッキブラシで皮膚をこすられれば痛いに決まっている。


ミカちゃんはうずくまったままずっと我慢しているが、体が微かに震えていた。


きっと泣いているんだろう。


「今度はお前がやられる番か？」


司があたしの耳元でそう囁いた。


その冷たい言葉に全身に寒気が走る。


一気に鳥肌が立つのがわかった。


「浩志からお金を取った方がずっといいしね」


司に続いて奏がそう言った。


奏の目は本気だ。


浩志の家からだったらいくらでもお金をとれるだろう。


それなのにイジメのターゲットにならずにいたのは、このメンバーにすがり付いていたからだ。


イジメに加わる事でイジメられずにすんでいただけだ。


あたしはそう理解して、体中から悲しみがあふれ出すのがわかった。
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