目覚める度に、傷ついて
浩志だけじゃない、天真も同じなんだろう。


だから2人はいつも肩を寄り添うようにしてイジメに加担していたんだ。


本当はこんな事やりたくないと、浩志の心が言っているのが聞こえてくるようだ。


あたしは司からデッキブラシを受け取った。


ミカちゃんはビクリと体を震わせてこちらを見る。


頬には涙が伝ったあとが残っていて、とても怯えている。


あたしはギュッと目を閉じてデッキブラシをミカちゃんの背中に押し当てた。


少しでも痛くないように、力をこめずにブラシを動かす。


だけどそんなことじゃ許してもらえなかった。


「なにしてんだよ、浩志」


司の言葉に目を開ける。


司は冷めた視線をあたしへ向けていた。


「浩志、やれよ」


隣から天真がそう声をかけて来た。


心はこんなに嫌がっているのに、ミカちゃんを傷つけないと許してもらえない。


あんなに大きなお屋敷に暮らしている浩志が、こんなに窮屈な立場にいるなんて思ってもいなかった。


あたしは大きく息を吸い込んで、力を込めてデッキブラシを持ったのだった。
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