目覚める度に、傷ついて
止める
2人は真っ直ぐに屋上へ向かっていた。


だけど屋上の鍵はしっかりと駆けられている。


2人は階段を上がり切った場所にある踊り場で立ちどまった。


階段に身をかくしながらその様子をうかがうと、ミカちゃんの怯えた表情が見えた。


「お金、くれる?」


そう言い、奏が右手を差し出している。


あたしは明さんに同じ事をやられたと思い出していた。


奏は明さんと全く同じ事をしている。


「今……持ち合わせがなくて……」


ミカちゃんの声はひどく震えている。


「はぁ? 少しくらいあるでしょ?」


奏は昨日もミカちゃんからお金を奪った事を、忘れているのだ。


「本当に、なくて……」


そう言うミカちゃんのスカートに手を突っ込む奏。


ミカちゃんは身をよじって逃げようとするが、奏はそれを許さない。


ポケットから何かを握りしめて引っ張り出す。


茶色い封筒だ。


「あるじゃん、お金」


封筒の中身を確認した奏が嬉しそうにそう言った。


「やめて! それは塾の月謝だから今日支払に行くの!」


カナちゃんの声が悲痛なものに変わる。
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