目覚める度に、傷ついて
不意に言われても思考回路はついて行かない。


そんなあたしを見て、奏は一呼吸を置いて説明し始めた。


奏が万引きをしたのは2年生に上がってすぐの頃だったそうだ。


ほんの出来心でデパートに売られていた香水をポケットの中にいれた。


それほど高級な商品ではなかったため、防犯タグも付けられていなかったらしい。


奏はそのままデパートを出た。


誰も追いかけて来ない。


誰も気が付いていない。


そう思って大通りまで出たところで、捕まったのだ。


声をかけられたときはお店の人だと思った。


だけどその容姿を見た瞬間、違うとわかった。


派手な髪色の二人組の男だったのだ。


男たちは奏が万引きをしている所を見たと言った。


だけどお店の人にも警察にも通報しない。


その代わり、今日だけ自分たちに付き合えと言うのだ。


奏は青ざめた。


男は見た所高校生か大学生の様だった。


どう見ても自分より年上だ。


しかも2人いる。


ついて行けば何が起こるかわからない。
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