目覚める度に、傷ついて

明さんはそう言い、優しく奏の頭を撫でた。


奏はその優しさに心底ホッとしたらしい。


が……。


『その代わり、俺が呼び出した時必ず来る事』


明さんはニコニコと笑顔を絶やさず言葉を続ける。


『１時間会えば１万円な。持ってこないと君が万引きをしたことをバラすし、さっきの後輩たちにも君の居場所を伝える。いい？』


奏は世界が歪むのを感じていた。


この人は一体何を言っているんだろう？


言葉が理解できずに右から左へと流れて行くだけだった。


気が付けば、明さんは奏のスマホに自分の番号を登録していた。


『じゃぁ、またね』


明さんはそう言い、奏を１人残してファミレスを出たのだった。