目覚める度に、傷ついて
あたしは目をパチクリさせて男性を見つめる。


「久しぶりだな浩志」


そう言い、豪快に笑って見せる男性。


よく見ると浩志に似ている。


目元に刻まれたシワや白い口髭を見ると、浩志のお父さんのようだ。


しかしあたしはうまく返事ができないまま、立ち尽くす。


「浩志さん、久しぶりにご主人様に会われてビックリしているようですね」


お手伝いさんが浩志と父親の再開をほほえましく見守っている。


「そうだな。ほら、早く乗りなさい」


父親に促されて、あたしは車に乗り込んだのだった。
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