目覚める度に、傷ついて
夢の中
それからあたしは奏を家まで送ってきていた。


「まさか浩志が助けてくれるなんて思ってなかった」


玄関の前で立ちどまり、奏はそう言った。


その表情はとても晴れやかだ。


「偶然だよ、偶然」


あたしはそう言い、ほほ笑む。


不意に奏が真剣な表情になった。


「浩志は大丈夫なの?」


その言葉に一瞬とまどう。


浩志が大丈夫とは、一体どういう意味なんだろう?


明さんからの報復を恐れているんだろうか?


「俺は、大丈夫だから」


とりあえず奏を安心させるため、そう言った。


「そっか」


奏はひとまず納得したようにそう言い、家に中に入って行ったのだった。
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