目覚める度に、傷ついて
机に置いてある鞄の中を確認する。


昨日持って行ったままだから教科書を入れ替えなければいけない。


そう思い、引き出しを開けた。


瞬間、心臓がドクンッと大きく跳ねた。


浩志の机の引き出しには写真が何枚か入っていた。


それを手に取り、確認して行く。


すべでの写真の穂月が写っているのがわかった。


正面から撮った写真は一枚もない。


全部隠し撮りだ。


あたしは自分の口から空気が漏れていく感覚がして、ハッと息を飲んだ。


わからなかったことが次第に見えて来る。


浩志は穂月の事が好き。


穂月がイジメのリーダー格だから、浩志はそばについていた。


そして自殺未遂の隠ぺいも、穂月が悪者にならないために浩志の両親が計らったもの……。


あたしは昨日父親が言っていた言葉を思い出していた。


家族のために権力を使う。


その言葉がピタリとはまってしまった。
< 89 / 202 >

この作品をシェア

pagetop