目覚める度に、傷ついて
自分の体がもし死んでしまっていたとすれば、魂のあたしは帰る場所がなくなってしまうと言う事だ。


これから先ずっと奏として生きていく事になるかもしれない。


そう思うと背筋が寒くなった。


奏は毎日のようにあたしにお金を請求してきていた。


最初は数百円だったものが、最近では数万円まで跳ね上がっていた。


そんな大金お小遣いだけで用意することはできなくて、何度も親の財布から盗みを働いていた。


真夜中にこっそりリビングに向かい、両親の財布から万札を抜き取る。


その瞬間あたしは大量の冷や汗をかき、申し訳なさで涙が出た。


どうしてこんな事になったんだろう。


どうしてこんな事をしているんだろう。


何度も後悔したし、何度ももう辞めようと思った。


だけど無理だった。


お金を用意できなかった日は、奏はあたしの体を踏みつけた。


肋骨が折れてしまうんじゃないかと思うくらい、強く蹴られた事もある。


苦痛で顔を歪めても『助けて』と叫んでみても、周りにあたしを助けてくれる子なんていなかった。


いつもあたしを見下し、冷めた目で見つめて来るイジメメンバーしかいなかった。
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