目覚める度に、傷ついて
浩志が相手ならもっと深く話をしてくれるかもしれない。


そう思った時だった。


前方から見慣れた2人組が歩いてくるのが見えて、あたしと天真は自然と足を止めてしまっていた。


穂月と司だ。


「よぉ、2人とも!」


司が元気に片手を上げて来る。


あたしと天真はぎこちなく、それに合わせて手を上げて見せた。


「学校とは逆方向だぞ」


天真が小声でささやいて来た。


あたしは小さく頷き返す。


「お前らを迎えに来たんだ」


すぐ近くまで来た司がそう言った。


「え……?」


天真が戸惑ったように視線を泳がせる。


だけどその顔には無理矢理笑顔が張り付けてあった。
< 94 / 202 >

この作品をシェア

pagetop