キミの笑顔が見たいだけ。
「それより、大丈夫か?頭痛くなったんだよな?病院行っとく?父さんにも連絡しといたから」
「ううん……もう、大丈夫」
1歳下の海生はあたしなんかよりもずいぶん大人びていて、しっかりしている。
たまにヒヤッとする冗談を言ったりもするけど、基本ストイックで真面目な性格。
背が高い海生と並ぶとチビのあたしは妹のように見えるらしく、よくまちがえられた。
お父さんいわく、顔は2人ともお母さん似らしい。
「冷えちゃったから、シャワー浴びるね」
起き上がろうとしてみたけど、目の前がクラッと揺れてバランスを崩す。
体に力が入らなくて、布団の上にドサッと崩れ落ちた。
「バカ、もう少し休んでろって。倒れたんだぞ?」
「うぅ、もう大丈夫なのに……」
「菜都のそれは信用出来ない。頼むから……もう少し寝てろ」
眉尻を下げて切なげな表情を浮かべる海生。
気丈に振る舞っていても、海生の目を見れば何を考えているのかがすぐわかる。
……ごめんね。
心配してくれてるんだよね。
「もう少しだけ、寝とく。30分経ったら起こして」
「ん、わかった」
そんな会話を交わしたあと、目を閉じるとすぐに夢の中へと引き込まれていった。