キミの笑顔が見たいだけ。


「なんで……?なんで付き合わないの?遠慮してるんだとしたら、それは違うよ……!」


「ううん……遠慮してるとかじゃないよ。知られたくないの、矢沢君には……」


「菜都……」


「ごめんね……花純。あたしのこと、嫌になった……?」


「……なるわけないじゃん!なんでそんなこと言うの?バカァ」


両手で顔を覆って泣き出す花純。


「菜都のこと……大好きなんだからね!」


「うん……ごめ、ん。ごめんね……花純」


絞り出した声が震える。


ありがとう。


あたしも花純が大好きだよ。


「菜都は……っ絶対治る!大丈夫なんだから……っ!」


「……っ」


……ごめんね。


こればっかりはどうにもならないの。


でも、花純の気持ちはすごく嬉しい。


あたしのこと、大切に思ってくれてありがとう。


花純と仲良くなれてよかった。


なんてことを口にしたら絶対にまた泣くだろうから、心の中でそっとつぶやいた。


しばらくすると花純は泣き止んで、赤くなって腫れた目をハンカチで冷やしていた。


「このあと……どうする?」


「なんだか、疲れちゃったかも……」


ずっと歩き回っていたし、泣いたせいもあると思う。


神経を使ったこともあって想像以上に疲れてしまい、軽くめまいがした。


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