キミの笑顔が見たいだけ。


「お詫びにクリスマスプレゼント届けるから、ちょっと待ってて」


「え?」


クリスマスプレゼント……?


首を傾げるあたしに、高垣君はイタズラッ子のような笑みを浮かべている。


なに?


なんか悪いことを企んでそうな顔なんだけど。


「多分喜ぶと思うから。じゃあな!」


「え?ま、待ってよ……」


呼び止めるも虚しく、高垣君率いる男子の集団は人混みに紛れて消えて行った。


いつも思うけど、なんだか嵐のような人だ。


パッと来て、サッと去る。


クリスマスプレゼントってなに……?


よくわからなかったけど、またここに戻って来るってこと?


ま、いっか。


高垣君の言うことだ、そんなに気にすることはない。


そう思っていたあたしは、まだまだ高垣君という人をわかっていなかった。


なぜならーー。


「菜都、大丈夫か!?」


聞き覚えのある焦ったような声に顔を上げると、ものすごいスピードで走り寄って来る矢沢君の姿があった。


「な、なんでここに矢沢君が……?」


「なんでって、陽真が……はぁはぁ。菜都が変な男に絡まれてるから、助けに行ってやれって……」


「え……?絡まれてないけど?」


キョトンとするあたしを見て、眉をひそめる矢沢君。


「あいつ……騙しやがったのかよ。急いで来たのに、カッコわりぃ」


ガシガシと自分の頭を掻きながら、照れている姿がなんだか可愛い。


あたしのために来てくれたってこと……?


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