キミの笑顔が見たいだけ。


高垣君が言うクリスマスプレゼントって、矢沢君のことだったの?


男の人に絡まれてるって言って呼び出してくれたの……?


高垣君の誘いは断るのに、あたしのために動いてくれたってこと?


あんな風に突き離したのに、わざわざきてくれたの?


なんで?


どうして?


あたしは、矢沢君にそこまでしてもらう資格のない女だよ?


こんな最低なあたしのために、きてくれたなんて。


嬉しいなんて思っちゃダメなのに、湧き上がる気持ちが抑えられない。


「矢沢君、ツリーが綺麗だね」


「ん?ああ」


あたしの視線の先を辿りながら、矢沢君が目の前のツリーを見上げる。


かなりの高さがあるツリーの周りには、たくさんのカップルが寄り添っている。


「あんまマジマジ見たことなかったけど、すっげーんだな」


「うん、特別って感じがするよね。なんか癒される」


「まぁな。つーか、いつからいたんだよ?」


矢沢君が不意にこっちを見た。


整った顔にドキッとさせられる。


「えーっと、1時間前からかな……?海生もお父さんも家にいなくて、ひとりぼっちで過ごすのは寂しかったから」


「ひとり、なのか?」


「あ、うん。去年までは海生と2人だったんだけど、彼女が出来たからね」


ホントは海生はあたしといてくれようとしたけど、気を遣われたくなくて強引にデートに行くよう仕向けた。


「じゃあ、俺んちくるか?」


「え?」


思ってもみない矢沢君の提案に目を丸くする。


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