キミの笑顔が見たいだけ。
でも、もう矢沢君にウソをつくのは心苦しい。
花純に話したことでずいぶん心は軽くなったけど、いつまでも逃げ続けていることに疑問を抱くようになった。
ホントのことをちゃんと話してないから、こんなにもツラいんじゃないかって。
苦しいんじゃないかって。
花純に言われて気が付いた。
それならいっそ、矢沢君にホントのことを話すべきなのかもしれないと最近になって思い始めた。
すごい心境の変化。
ちゃんと話せば、この気持ちにケリがつくかもしれない。
ちゃんと諦められるかもしれない。
行動に移していないから、いつまで経っても諦められないんだ。
「うん、オヤジも知ってる」
「そっ、か」
ちゃんと話そう。
もう逃げない。
逃げたくない。
「ちょっと話したいんだけど……時間ある?」
「話?」
「うん」
もう逃げない。
そう決めたのに、いざとなると怖くて手が震える。
でも、逃げたくない。
必死に気持ちを奮い立たせた。