キミの笑顔が見たいだけ。
「ぷっ。どうしたんだよ、その傘。しかもお前、制服じゃねーし」
陽真は俺の手にある傘を見て苦笑した。
「濡れたから春田の弟に借りた」
「春田って、うちのクラスの?」
「そう」
「はぁ?お前、春田さんと仲良いのかよ?ひとりだけ抜けがけしやがって!服借りたってどういうことだよ!」
「なんだよ、抜けがけって」
なぜか俺を睨んで来る陽真をシレッと見やる。
「俺、今彼女いねーし。春田さんにアタックしてみようかと思ってたんだよ。家に行ったってことだろ?春田さんとどういう仲なんだよ」
「は?お前、もう別れたのかよ?」
後半の言葉をスルーして返す。
つーか、今日女に会いに行くとか言ってただろ。
「ついさっき振られた」
「あっそ。だからって、春田はやめとけ」
つーか、陽真と春田が付き合うって考えただけで何となくムカつく。
理由はわかんねーけど。
春田は色白でちっこくて目がクリクリしてて、小動物みたいな可愛い見た目をしてる。
飛び抜けて目立つわけではなく、控えめな印象。
雰囲気もフワフワしてて、どっか抜けてそうな感じ。
どことなく危なっかしいというか、放っておけないというか。
とにかく目が離せない。