キミの笑顔が見たいだけ。


「んな変な気遣うなって。一応デートだし、俺にカッコつけさせろよ」


そう言って苦笑した矢沢君は最高にカッコよくて、ドキッとした。


「あ、ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えてご馳走になるね」


「遠慮すんなよ、クレープくらいで。マジメだな」


なんて笑いながら、矢沢君はあたしの頭をポンとひと撫で。


そのままその手を、あたしの手に絡ませた。


繋がっていない方の手で店員さんからクレープを受け取って、矢沢君もまた飲み物を受け取った。


デートっていうシチュエーションにも、甘い雰囲気にもまったく不慣れで。


新鮮でドキドキする。


「それ食ったら、今度は俺の行きたいところに付き合えよな」


「行きたいところ?」


「おう」


「うん、わかった」


「だったら、さっさとそれ食えよ」


「うん、いただきます」


パクッと口に入れると、生クリームの甘さとイチゴの甘酸っぱい味が広がった。


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