キミの笑顔が見たいだけ。
「うーん、美味しい」
甘い物を食べてる時って、自然と笑顔になっちゃう。
「はは、大口開けすぎな」
「ウ、ウソ……恥ずかしい」
「いいじゃん。もっと菜都のそういう顔が見たい」
「ど、どういう顔?恥ずかしいよ」
「俺といて、笑ってる顔」
「……っ」
矢沢君にクスクス笑われながら、赤い顔でクレープをモグモグ頬張った。
恥ずかしいけど、すごく幸せ。
あたしも、矢沢君の笑顔をそばで見ていたいよ。
このまま時間が止まればいいのに。
なんて……ね。
「じゃあ、次は俺の行きたいところな」
「あ、うん……!」
手を繋いだままどこかに向かう矢沢君に、ドキドキしながらついて歩く。
駅の中を通り抜け、やってきたのはショッピングモールの屋上。
ここには何度も来てるけど、屋上にくるのは初めて。
ビューッと風が吹くと、寒さが身に染みる。
そこには観覧車があって、カップルがたくさん並んでいた。
「これに乗るぞ」
「わー、観覧車なんて久しぶり。なんかワクワクしちゃうな」
「じゃあ、乗るか」
「うん!」
矢沢君となら、なにをしててもどこにいても楽しい。
どこにも行かなくても、一緒にいられるだけで幸せだよ。