キミの笑顔が見たいだけ。
次の日ーー。
ーーガラッ
教室に行くと、それまで騒がしかった室内が一瞬にして静まり返った。
ひしひしと突き刺さる視線は女子からだけのものではなく、クラス全体から感じる。
こんなにあからさまなのは初めてで、かなり居心地が悪い。
なんなんだよ、いったい。
「おう、晶斗。お前、すっごい噂になってんぞ」
朝からやたらテンションの高い陽真が俺の肩に手を回し、じとっと見つめて来る。
朝っぱらから、いったいなんなんだよ。
「噂って?」
「昨日、雨の中を春田さんと肩組んで歩いてたんだろ?見てた奴がいるらしくて、朝からすっげー噂になってる」
「は?」
なんだよ、それ。
面倒だな。
つーか、うぜー。
なんでいちいち噂になるんだよ。
全員、よっぽどのヒマ人かよ。
「無愛想な晶斗に実は彼女がいたってなったら、噂になんのは当然だろ」
「うぜー。つーか、彼女じゃねーし」
「はぁ?だったら、なんで肩組んで歩いてたんだよ。やっぱり春田さんとデキてんだろ?」
陽真の声はクラス中に響き渡り、あからさまではないもののほとんどの奴らが聞き耳を立てているのがわかった。
ちっ。
うぜーな。