キミの笑顔が見たいだけ。


でも、そんなことは言えないから代わりに晶斗の手をギュッと握り返した。


「菜都……」


「ん?」


ニコッと笑ってみせたけど、うまく笑えているかはわからない。


微妙に頬が引きつってる。


でも、晶斗は何も言わなかった。


きっと、なにかを察しているはずなのに。


ダメだな、もっとうまく笑えるようにならなきゃ。


「今度、絶対行こうな」


目の前に晶斗の顔が迫ってきたかと思うと、まっすぐ心を射抜くような瞳にドキッとさせられる。


「うん……ありがとう」


ほんのり赤く染まる頬と、熱のこもった視線。


晶斗のこんな顔、他の誰にも見せたくない。


あたしだけのものにしておきたい。


そう思えば思うほど苦しくて、涙があふれてくる。


でも、泣かない。


「菜都」


「んっ……」


顔を上げた瞬間、晶斗にキスされた。


温かい唇の感触がとても心地良い2回目のキス。


一緒にいるとすごく安心させられる。


ねぇ……大好きだよ。



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