キミの笑顔が見たいだけ。
女子だけではなく男子も聞き耳を立ててるのは、多分春田のことを狙ってる奴らだろう。
昨日、春田はクラスでも密かに人気があるって陽真が言ってたし。
なんか……ムカつくな。
「デキてたらなんだっていうんだよ。関係ねーだろ、お前には」
「はぁ?マジかよ!昨日はそんなんじゃねーって言ってたくせに」
ブツブツ小言を言い始めた陽真をスルーして席に着く。
周りの女子がチラチラとこっちを見て来たけど、目が合うとすぐにパッとそらされた。
なんなんだよ。
窓際の春田の席を見たけど、あいつの姿はまだ見えない。
昨日調子が悪そうだったし、もしかしたら今日は休みかもな。
大丈夫かよ……あいつ。
なんて思ってたら、案の定春田は休みで。
担任の話によると、風邪を引いて熱を出したとのことだった。
まぁ、あれだけずぶ濡れになったら風邪も引くだろ。
あいにく俺は昔から体が強く、風邪を引いたことはほとんどない。
「バカは風邪引かないって言うもんな」
陽真の奴、うぜー。
空席になったあいつの席をチラチラ気にしながら、なぜか沈んでしまっている気持ちを切り替えようとしてみたけどムリで。
「おいおい、春田さんが休みだからってそんな落ち込むなよー!わかりやすい奴だな」
「そんなんじゃねーよ……」
強がってみたものの、1日中春田のことが頭から離れなかった。