キミの笑顔が見たいだけ。


「うー……んっ」


く、苦しい……。


息が、息ができない。


胸が刃物で刺されたように痛む……。


なんでこんなに痛いの?


あたし……これからどうなっちゃうの?


わからない。


怖いよ。


「……っ、菜都!」


「……っ」


胸が締めつけられる感覚と息苦しさを感じてパッと目を開けた。


天井の電気の明るさに慣れなくて、目がくらむ。


「はぁはぁ……」


なんだか、とても嫌な夢を見た気がする。


額には汗がびっしょりで、背中の方までじっとりしていた。


小刻みに震える体は恐怖でいっぱい。


だんだん目が慣れてくると、目の前にいる人影がはっきり見えるようになってきた。


「あき、と……?」


「ああ、俺だよ。うなされてたけど、大丈夫か?」


さっきと同じ心配顔を浮かべながら、さらに顔を覗き込んでくる。


「死ぬのがこわ、い……っ。あた、し、ちゃんとわかってる……もう、長くないって」


ちゃんと理解しているつもりだった。


忘れていないはずだった。


あたしはいつかはいなくなるんだってこと。


だけど全然受け入れられなくて……。


怖い。


怖いよ……。


あたし、まだ死にたくない。


「もっと……生きたい……っ。なん、で、あたしなの……っ?」


どうして死ななきゃいけないの……?


まだまだやりたいことがたくさんある。


晶斗といることで、未来を描いてみたくなった。


どうして叶わないの……?


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