キミの笑顔が見たいだけ。
「俺からも……頼むよ!菜都は……俺と同じ未来を歩いて行くって決まってんだ。病気なんかに、負けてたまるかよっ」
声がかすれて目の前がボヤけた。
泣くな。
男が泣くなんて、みっともない。
我慢しろ。
出てくるなって……っ。
これ以上、菜都にカッコ悪いところは見せたくねーんだよ……。
思いとは裏腹に涙が頬を伝った。
情けねーな……マジで。
カッコわりー。
「あ、あたしも……っ負けたく、ない。だから……助かる方法がある……なら、なんだって、する。たとえリスクがあったとしても、何もしないでいるよりかは、マシだもん……っ」
ベッドの上で菜都が静かに涙を拭った。
今までこんなに必死な菜都の姿を見たことがない。
それだけ本気だってことが伝わってきて、今度は俺はおじさんに向かって頭を下げた。
「手術を……受けさせてやって下さい……っ!」
カッコ悪いなんて言ってられるかよ。
みっともなくたっていい。
菜都が助かる道があるなら、それ以上のことはないだろ。
菜都の未来を諦めてほしくねーんだよ。
おじさんは神妙な面持ちで、なにかに迷っているようだった。
成功する確率は10%……。
失敗すれば死ぬかもしれない……。
決して高くはない成功率。
まだ余命があるにも関わらず、手術中に命を落とす可能性だってある。
簡単に答えを出せないおじさんの気持ちも、わからなくはない。
「お父、さん……っお願い。あたし、絶対に大丈夫。大丈夫、だから……」
まだ迷っているであろうおじさんの手を、菜都がギュッと握る。