キミの笑顔が見たいだけ。
その日の夕方になると、疲れが出たのかフラフラした。
入院してからトイレ以外はほぼ寝たきりだったから、体力がかなり落ちてしまっている。
久しぶりに長時間起きているせいか、血の気が引いていく感覚がする。
情けないな、今のあたし。
今日は晶斗がお見舞いに来てくれるっていうのに。
学校が終わると一目散に来てくれた晶斗は、病室に入るなり心配顔を見せた。
「顔色悪いけど、大丈夫か?」
そう言いながらベッドのそばまで来ると、パイプ椅子に座って手を握ってくれる。
温かくて大きな手。
大好きな温もりだ。
「さっきまで元気だったんだけどね」
えへっと笑って見せても、よっぽど悪く見えるのか、不安げな表情は消えない。
「あんまムリすんなよ」
「うん、わかってる。でもね……晶斗がきてくれたから、なんだか嬉しいんだ」
体は疲れてるけど、心がこんなに弾んでるのは晶斗のおかげ。
あたしはいつだってキミに助けられている。
晶斗といると頑張ろうって思えるんだ。
「あたしね……晶斗と出逢えてよかったって思ってるよ」
「はは。なんだよ、いきなり」
晶斗は照れくさそうに微笑んだ。
変わらない笑顔。
両手で手を包み込まれてドキッとする。
「いきなりじゃないよ。前にも言ったでしょ?晶斗に出逢うために生まれてきたんだって。ほんとにありがとう……」
こんなあたしのそばにいてくれて。
励ましてくれてありがとう。
そんな晶斗にはちゃんと言わなきゃ。
伝えなきゃ。
「あたしね……アメリカに行くの」
「え……?」
「アメリカの病院で手術を受けるの」
「アメ、リカ?」
思いもしていなかったのか、キョトンとした様子の晶斗。