キミの笑顔が見たいだけ。
「今の日本の医学では治せないから、アメリカに行かなきゃいけないの」
声が震える。
喉がカラカラに渇いて、うまく息が吸えない。
「待ってて……」
ほんとはそう言いたい。
でも……。
でもっ。
「くれなくていいよ」
絞り出した声は、自分でも驚くほど冷静だった。
そう、待っててくれなくていい。
これ以上、あたしのワガママで晶斗を苦しめたくない。
不意に視界がボヤけて、生温いものが頬を伝った。
涙がバレないように、顔を必死に反対側に向ける。
でもきっとバレバレだ。
「なんだよ、それ」
「何年も帰ってこられないかもしれないし……どんな姿になってるかも、わからないから」
もしかしたら、二度と……帰ってこられないかもしれない。
だけど、それは口にしない。
「何年でも……何十年でも……俺は……っ」
「待たなくて、いい」
かすれたような晶斗の声を遮った。
泣いてちゃいけない。
ちゃんと想いを伝えなきゃ。
「晶斗は幸せになるために、しっかり自分の未来を生きて。あたしは……晶斗が諦めないでいてくれた命をしっかり守ってみせるから。頑張るから、だから……」
あふれる涙を手で拭う。
「もし、日本に帰ってくることができたら……今度はあたしから、会いに行くよ」
そして、気持ちを伝える。
「晶斗の気持ちが変わってなかったら……その時は」