キミの笑顔が見たいだけ。
あの日から確実に俺は変だ。
それは自分でも嫌というほど自覚してる。
春田のことが気になって仕方ない。
今まではそこまでじゃなかったのに、いきなりの変化に自分が一番ビックリしてる。
「まーた、お前は春田さんを見てんのかよ。どんだけ好きなわけ?」
クスクス笑いながら陽真がからかって来た。
陽真以外の仲間も、ニヤニヤしながら俺を見つめてる。
うぜー。
「なんだよ、いちいちこっちを見んなって」
「いやー、晶斗ってこんなにわかりやすい奴だったんだなぁって」
「けど、付き合ってねーんだろ?さっさと告れっつーの」
春田と付き合っていないことは、あのあとこいつらだけにはちゃんと話した。
カン違いされたままヤジを飛ばされるのもウザいし、いずれはわかることだから。
春田の弟に借りた服と傘を返したら、そこで繋がりはなくなってしまう。
ここからどうやって繋げればいいのか、俺にはわからない。
かといって陽真に相談するのも納得いかねーし、春田から何かを言って来ることもきっとない。
「奥手な晶斗のために、この俺が協力してやるよ」
「は?」
「お前は自分から話しかけたりしないタイプだろ?このままじゃ進展なく終わるのは目に見えてるし、春田さんに本気みたいだからな」
「別に頼んでねーし。つーか、春田を狙ってるんじゃなかったのかよ?」
「晶斗のために、優しい俺は身を引いたんだよ。春田さんといつも一緒にいる村上(むらかみ)さんの連絡先をゲットしたから、そこから繋げてやるよ」
いや、余計なお世話だし。
それにお前は、女なら誰でもいいのかよ。
春田の次は村上かよ。
はぁとため息を吐いてみる。
だけど、繋げてやると言われて少しだけ浮かれてる俺がいた。