キミの笑顔が見たいだけ。
『待っててくれなくていい』
あの日、そう言った菜都の声が頭から離れない。
待たないって約束したものの、本当にこれでよかったのかって……。
もっと他に、なにかできることがあったんじゃねーのかよ?
信じて待っててほしいって言われたら、いくらでも待つつもりだった。
だけど菜都は俺の幸せを願って身を引いたんだよな……?
もしも帰ってくることができたら、菜都から俺に会いにくるって……。
なんだよ、それっ。
だけど、俺は信じてる。
菜都は絶対に帰ってくるって。
それなのに……なんでこんなに苦しいんだ?
「しっかし、ビックリだよな。いきなり休学なんてさ」
ついてくんなと言ったにも関わらず、陽真はお構いなしに隣に並んで、ひとりペラペラ喋り続ける。
「花純ちゃんもなっちゃんがいなくて寂しがってるし、晶斗も元気ねーしなぁ。アメリカなんて遠すぎだよな」
「…………」
「明日から春休みだし、会いに行けば?なんなら、俺がついて行ってやろうか?」
事情を知らない陽真はのんきに笑っている。
会いたくないって言ったら嘘になる。
会いたいに決まってるだろ。
まだこんなに想ってるのに……。