キミの笑顔が見たいだけ。
さっきまでのんきに笑ってたのに、そんな気配は微塵も感じられない。
「花純ちゃんから全部聞いた。なっちゃんは手術を受けるために、アメリカに行ったんだってこと。病気だったんだな……。聞いた時はショックだったけど、そんな気がしてたから納得したよ」
そんな顔……すんなよ。
お前はいつもみたいに、ヘラヘラしてりゃいいんだよ。
陽真と俺の間に似つかわしくない変な空気が流れる。
「好きなんだろ?だったら支えてやらなきゃ」
「待っててくれなくていいって言われたんだよ。生きて帰って来られたら……会いにくるからって」
それなのに、行けるわけないだろ。
本当は会いたいけど、素直じゃない俺はそう言えなかった。
なにか理由をつけて菜都から逃げることで、冷静さを保っていられたんだと思う。
そうでもしないと、いろんなものに押しつぶされそうで。
いっぱいいっぱいだった。
「けど……死ぬかもしんねーんだろ?そうなってからじゃ遅いだろ」
「わかってる」
「わかってねーよ、お前はなんも。怖いのはなっちゃんだろ?」
「わかってるっつってんだよ……っ!」