キミの笑顔が見たいだけ。
目が合うだけで
「というわけで、文化祭の出し物はコスプレカフェに決定しました。今から役割を決めるんで、やりたいのがあったら挙手してくださーい。もしくは推薦でも構いませーん」
クラス委員の男子の間延びした声が教室に響く。
コスプレカフェか。
黒板には意見を出し合って決めたコスプレの種類がたくさん書いてある。
中には王子様とお姫様なんていう役もあり、ちょっとやりたいなとか思ってみたり。
ただのカフェじゃなくて途中でフォークダンスやゲームを挟んだり、イベント盛りだくさんのカフェになるんだとか。
「じゃあまず、幽霊やりたい人ー!」
ゆ、幽霊……。
変わりダネも入れようってことで出た案だけど、やりたい人なんているのかな。
なんて思っていたらーー。
「はーい、あたしやりたい!」
案外すんなり決まった。
ちょっとビックリ。
「じゃあ、次は犬やりたい人ー!」
次々と決まって行く中、後ろから肩をツンツン突かれた。
「菜都ー、なにやる?」
「うーん、どうしよう。花純(かすみ)は?」
「あたしー?もちろん、お姫様でしょ!」
「お姫様かぁ。うん、似合ってるかもね。あたしはどうしようかなぁ」
「菜都はチャイナドレスとか似合いそう!」
「チャイナドレス?あたしが?ムリだよ、チビだもん」
スタイル良くなきゃ、似合わない気がする。
「うーん、じゃあリスの着ぐるみとか?」
「あは、リス!可愛いかも」
なんて言い合いをしていると、不意にどこかから視線を感じた。
ーードキン
廊下側の一番後ろの席に座る矢沢君と目が合って、鼓動が一気に加速する。