キミの笑顔が見たいだけ。
ーードクドク
ーードクドク
「はぁ……」
さっきから何度目のため息だろう。
親父が書いてくれた病院の住所を頼りにここまで来たのに、情けなさすぎる。
正面玄関前から一歩も動けないなんて。
アメリカの都会の真ん中にある大きな病院。
ここに菜都がいる……。
意を決して病院の中へと入った。
だだっ広い吹き抜けのロビーには、たくさんの外人の姿がある。
中の雰囲気は日本と変わらないけど、ショッピングモールのような大規模な病院だ。
案内所まであり、そこには日本人スタッフの姿もあった。
きっと、世界的に有名な病院なんだろう。
迷いながら病室の前までたどり着き、深呼吸をひとつ。
ドアを開けようと伸ばした手が、無意識のうちに震えていることに気がついた。
マジで……情けねー。
カッコ悪すぎるだろ。
ビビってんじゃねーよ。
「晶斗、くん……?」
ーービクッ
いきなり呼ばれて、肩が揺れた。
振り返るとそこには、菜都の父親が戸惑い顔で立っていた。